「この材料の使用を止めてください。これでは出荷できません」2012年のこと。ある海外工場が新たに中国から鋼材を仕入れました。毎月数百万円のコスト削減が実現する、会社にとってもメリットのある判断でした。事前評価でも問題なく、また中国業者にも足を運んで確認を重ねてきました。しかし、いざ使用を開始してみてビックリ!!!金属材料に考えられないような打痕や傷が入っていたのです。新規材料の使用を止めた瞬間から工場計画にとっては大打撃になりますが、信用には替えられません。すぐにストップをかけて調査が始まりました。鋼材業者にも改めて足を運び調査するにつれ、検査方法の甘さなど、見えていなかった問題が次々と見えてきました。ひとつ一つ指摘していき、品質ルールを決めていきました。大変なのは、これを鋼材業者に理解してもらうこと。「これまで大丈夫だった」という業者視点の考えをどう改めてもらうか。一方的では絶対に理解は得られない。お互い歩みよりながら、チャレンジしなければいけない。時間はかかりますが、これを乗り超えれば、必ず良好な関係につながると信じて…。このケースでは最終的に業者の協力も取り付け、当社海外工場に中国業者から検査人員を派遣させるまでの大掛かりな対応となりました。
品質において妥協という言葉はない。私たち品質保証は、メーカーにとっての永遠の課題に向き合い続け、品質の重要性を説く伝道師の役割を担います。現場や取引先にイヤな顔をされることも多々あります。それでも、駿河生産プラットフォームにおける品質面での総監督は私たちが担っている、という自負は曲げちゃダメだ、そう思っています。
- 2011年入社。医療機器のメーカーで設計や工場の運営、品質保証を経て駿河生産プラットフォームへ。ベトナム工場および上海工場での体制構築に参画。現在は品質保証部内の部下育成を行っている。